みなさんこんにちは!( *´艸`)
グリーンフードの矢村です。
皆さんは「三角食べ」という言葉を覚えているでしょうか。
小学校の給食の時間、「ごはんとおかずと汁物をバランスよく順番に食べましょう」と
先生に指導された経験がある方も多いのではないでしょうか。
ごはんをひと口食べ、次におかず、さらに汁物をすする。
これを繰り返していく食べ方を「三角食べ」と呼びます。
今では当たり前のように思えるこの食べ方ですが、実は日本ならではの食文化であり、
海外ではほとんど見られない習慣だということをご存じでしょうか。
今回は、この「三角食べ」がどのように生まれ、どんな背景を持ち、
現代にどう受け継がれているのかを探ってみたいと思います。

★三角食べとは何か
三角食べとは、「ごはん」「主菜(おかず)」「汁物」を交互に
食べ進めることを指します。
つまり、一つの料理を食べ切ってから次に移るのではなく、
少しずつ組み合わせながら口に運ぶのです。
たとえば、ごはんを一口食べたあとに焼き魚を少し、
さらに味噌汁をひとすすり。そしてまたごはんに戻る。
こうしたサイクルを続けることで、ごはんとおかずと汁物を一緒に味わい、
食卓全体の調和を楽しむことができます。
この食べ方は、日本人が長年大切にしてきた「一汁三菜」の考え方と
深く結びついています。一汁三菜とは、ごはん・汁物・主菜・副菜を
組み合わせる基本的な献立形式のこと。
食べ方そのものも、組み合わせを意識して「調和」を
楽しむことに価値が置かれてきたのです。

★海外との違い
一方、海外ではどうでしょうか。アメリカやヨーロッパの食卓では、
「一品ずつ食べる」スタイルが一般的です。
ステーキを食べるときには付け合わせのポテトやサラダも
一緒に口にしますが、基本的にはメインディッシュを食べ終わってから
デザートへ、といった順序が重視されます。

また、インドや中東などでは、ごはんにカレーやシチューをかけて
混ぜながら食べるのが普通です。
中国や韓国でも、おかずとごはんを合わせる文化はありますが、
日本のように「少しずつ交互に食べること」を特に意識して
指導する習慣はありません。
つまり「三角食べ」という食べ方を教育として定着させているのは、
ほぼ日本だけなのです。

★三角食べの歴史
では、なぜ日本で「三角食べ」が広まったのでしょうか。
実は、この習慣が学校給食を通して広がったのは戦後のことと言われています。
戦前までは、家庭ごとに自由な食べ方があり、
必ずしも「ごはんとおかずを交互に食べなさい」といった
指導はありませんでした。
ところが戦後、学校給食が再開されると、栄養をバランスよく摂るために
「いろいろな料理を少しずつ食べましょう」という教育方針が
とられるようになりました。
その延長で「三角食べ」という指導が生まれ、全国に広がっていったのです。
1970年代から80年代にかけては、教師が給食の時間に
「ごはんだけ先に食べないように」「汁物ばかり飲まないように」と
声をかけるのが一般的でした。

大人になった今でも、その記憶が残っている方は多いのではないでしょうか。
★三角食べのメリットとデメリット
三角食べには、いくつかのメリットがあります。
味の調和を楽しめる:ごはんとおかずを交互に食べることで、
味が単調にならず、最後までおいしく食べられます。
栄養バランスがとれる:複数の料理を同時進行で食べるため、
栄養素を偏りなく摂取できます。
満腹感が持続する:血糖値の上昇がゆるやかになり、
腹持ちが良くなるとも言われます。

一方で、デメリットも指摘されています。
個人の食べ方を制限してしまう:すべての人が同じ食べ方をする必要はなく、
食べたい順番で楽しむ自由も大切。
集中して味わえない場合がある:一品ずつしっかり味わう楽しみを奪ってしまう
可能性もあります。

近年では、教育現場でも「必ず三角食べをしなさい」という指導は少なくなり、
「自分のペースで残さず食べよう」という考え方に変わってきています。
★現代における三角食べ
私たちの食生活は多様化し、パンやパスタ、ファストフードなど
選択肢が広がっています。
その中で、昔ながらの「ごはん・おかず・汁物」を
組み合わせる食卓は、むしろ特別な存在になっているかもしれません。
忙しい日々の中で三角食べを意識するのは難しいかもしれませんが、
休日の夕食などでゆっくりと「ごはん→おかず→汁物」のリズムを楽しむと、
日本ならではの食文化の豊かさを実感できるでしょう。
また、ちょっとした話題として「今日は三角食べできたかな?」と振ってみると、
世代によって返ってくる反応が違って面白いかもしれません。
「昔は先生に注意されたなあ」「え?三角食べってなに?」など、
思わぬ会話が広がるきっかけになります。

いかがでしたでしょうか
三角食べは、単なる食べ方の作法ではなく、
日本の食文化を象徴するユニークな習慣です。
戦後の給食を通じて広がり、今も多くの人の記憶に残っています。
食べ方に正解はありませんが、ときには「三角食べ」を思い出して、
ごはんとおかずと汁物をバランスよく味わってみるのも
良いのではないでしょうか。
日々の食事の中に小さな発見や楽しみを見つけられることこそ、
食文化の豊かさだと言えるのかもしれません。

それでは次回のGF便りもお楽しみに♪